「どうですか?今度ご一緒にお食事でも」
こんなお誘い、聞いたことありませんか?
何かの交渉や頼みごとがあったりすると、
「接待」がお決まりコースとなっていませんか。
なぜ、食事に誘う行為、すなわち「接待」がセッティングされるのか?
今回は、接待に隠された心理的影響について解説します。
フィーリング・グッド
「フィーリング・グッド」とは、心理学者のジャニスが行った実験です。
どのような実験かというと、
『あるジャーナリストが書いた論評に対する感じ方について、
ピーナッツを食べたりコーラを飲みながら読んだ場合と、
何も口にせずに読んだ場合に違いが出るかどうか』
というものでした。
用意された論評は次の4つでした。
「ガンの治療法が発見されるには、まだあと25年以上かかる」
「アメリカ空軍はこれ以上増員は必要なく、逆に85%以下に縮小できる」
「月への往復旅行は今後10年以内に実現できる」
「映画は今後3年以内にすべて立体画像になる」
この実験の結果は以下の通りでした。
飲み食いしながら論評を読んだ人のほうが、
何も口にせずに読んだ人よりも、賛同する確率が非常に高い。
食事中にお願いすると・・・
人は、何かを食べている時、
「食べること」そのものが快適な刺激を受けています。
つまり、説得されやすい心理状態になり、
出された意見に対して好感を抱きやすくなるのです。
人は食事をしている時は、緊張が弱まり、
警戒心を解いて、相手の意見を素直に聞く姿勢になるのです。
さいごに
会社でよく耳にする「接待」ですが、その効果は、
フィーリング・グッドの実験でも明らかになっています。
ピーナッツやコーラではなく、高級料亭でご馳走されたら、
その効果に加え、美味しさや贅沢感が加味されることでしょう。
気難しい人でも警戒心を解いて、交渉が良い方向に進むことでしょう。
逆に、接待に誘われた際の「好印象」は、
2割引き程度に考えたほうがいいでしょう。
次回は、「きちんとした服装」が与える印象について解説します。