詐欺師の第一印象は良い?悪い?
人間関係を築くにあたり、人の第一印象は大切なことです。
「外見よりも中身」とよく言います。
しかし、詐欺師にしろ空き巣にしろ、
捕まってみると意外と清潔にしていることが多いです。
「見た目がよい」から「信頼できる」と思い込んでいませんか?
今回は、こんなあなたの『思い込み』についてお話しします。
ネクタイとスーツの威力
ある面白い実験がありました。
それは、交差点で信号は赤、車は来ていない。
ネクタイを締め、身なりの良いスーツ姿の男性が、
信号を無視して渡ると、周りの歩行者もつられて、
信号を無視して渡ってしまう人が多かったのです。
また、作業着姿の男性が渡っても、
周囲の歩行者がつられて渡ることはなかったそうです。
この実験結果だ分かったことは、
服装が与える印象は、その服装に対して持っている先入観が、
想像以上に大きな影響を与えていることです。
第一印象が及ぼす効果
アメリカの心理学者レオナード・ビックマンが面白い実験を行いました。
それは、電話ボックスの棚に、10セント硬貨を置いておくことでした。
誰かが電話ボックスに入った2分後に、ドアをたたき、
「10セント硬貨を忘れた」という旨を伝える、という実験です。
この時に硬貨を返してくれる確率は、
きちんとした服装をしている場合は77%、
みすぼらしい服を着ている場合は38%、
という結果がでていました。
他人のイメージも「第一印象」
他人に抱く印象のうちで、
最も影響するのは、やはり最初に会ったときの第一印象です。
これは、人間の記憶のメカニズムである
「系列位置効果」というものが影響しています。
つまり、ある一連の出来事が起きた時、
人間の記憶に強く残っているのは、最初と最後なのです。
アメリカの心理学者G・A・ミラーの行った実験に、
ジムという人物の出てくる文章を、学生たちに読ませたものがあります。
その文章の前半は、ジムが社交的なイメージで書かれており、
後半は非社交的なイメージで書かれているものです。
すると、全ての学生が、ジムは社交的で愛想の良いと答えたのです。
別の学生に、前半と後半を逆にして読ませると、
彼らは、ジムは非社交的で消極的な性格だと答えたのです。
第一印象が引っ張る
「初頭効果」という記憶のメカニズムでは、
人間は初めに与えられた情報の方を信じやすいという効果です。
多くの詐欺事件で共通していることは、
最初にあった時に、相手がきちんとした服装をしていたから、
すんなりと信頼してしまったというのです。
その結果、後から不審な点があっても、
意識できなくなってしまう心理現象が起こるのです。
したがって、騙されやすくなってしまうのです。
さいごに
いくら「外見より中身」とはいっても、
第一印象が与える効果は無視できないのです。
逆に、人を騙そうという人間は、
第一印象に気をつかっていることを、知っておいてください。
次回は、「初頭効果」と矛盾するのですが、
「最後の情報ほど頭に残る」というメカニズムについて解説します。